[相対的サイト増幅特性による地震動推定]

(1)タンク毎の振動特性の算出

東日本大震災の余震において、約700m離れた2地点の加速度応答スペクトルを比較すると、 周期1秒より長い領域ではほぼ同じ地震動である一方、 1秒より短い短周期領域では大きな差が生じることが確認されています。

これは、

  • 長周期地震動は広域で共通性が高い
  • 短周期地震動は表層地盤の影響を強く受け、地点固有の特性が現れる

ことを示しています

 即ち、長周期地震動は、2点間で同一としても良いが、表層部の影響が大きい短周期地震動ではそれぞれの地点固有の表層地質を考慮した地震動を用いる必要がある事を示しています。

 右下図に短周期地震動がA点, B点で異なる現象のメカニズムを示します。地震波は地震断層から発生し、地殻を伝搬して地震基盤に到達した後、表層地盤の条件に応じて増幅し地表に達します。基盤に到達した段階では A 点・B 点の地震動はほぼ同じですが、表層部のサイト増幅特性 G(f) により地表での波形が変化します。そのため、基準地点 A の地震波形 OA に対し、 タンク位置 B の地震波形 OB は サイト増幅特性比 GB(f)/GA(f) を掛け合わせることで推定できます

相対的サイト増幅特性の考え方

(2)常時微動の利用と有効性の検証

常時微動観測から得られる 水平/上下動スペクトル比(H/V) は、地盤条件が大きく変わらない地域では 相対的な揺れやすさの指標として利用できます。この性質により 2地点間のサイト増幅特性比は H/V 比とほぼ等しくなることが知られています。 DIRECT ではこの関係を用いて、地震観測点で得られた地震波形から タンク位置の地震波形を推定しています。

2018年の胆振東部地震の観測データを用いた検証では、一方の地震計で観測された地震動から他地点の波形を推定し、実際の観測スペクトルと比較したところ、南北(NS)・東西(EW)ともに良好な一致が得られ、 この推定手法の有効性が確認されています。

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